信号が変わって小走りになった瞬間。くしゃみをした拍子。子どもと縄跳びを跳んだ一回目。「あ、」と動きを止める──あの尿もれの話です。
誰かに相談するほどではない気がする。病院に行くのも大げさな気がする。吸水ライナーでしのげているうちは、なかったことにしておきたい。尿もれは、そうやって一人で抱え込まれやすい悩みです。
徳島県徳島市でパーソナルピラティスを提供するPilates & Conditioning Relize(リライズ)にも、産後の方や50代以降の方から「もれたらどうしようと思って、ずっと運動を避けていました」と、小さな声で打ち明けられることがあります。
先に結論をお伝えします。くしゃみや運動の瞬間に起こる尿もれの多くは、骨盤底筋という筋肉の衰えが関係しています。筋肉が原因なら、鍛え直せます。その方法として医療の現場でも注目されているのが、呼吸と連動させて深層の筋肉に働きかけるピラティスです。
尿もれの多くは「骨盤底筋の衰え」が関係している
お腹に力が入った瞬間に起こる尿もれは「腹圧性尿失禁」と呼ばれ、主な原因は骨盤底筋のゆるみです。そして腹圧性尿失禁への対処として最初に推奨されているのは、手術でも薬でもなく、骨盤底筋トレーニングと生活習慣の見直しだと言われています。
まず、この筋肉がどこで何をしているのかから確認します。
骨盤底筋とは?内臓を支えるハンモック状の筋肉
骨盤底筋とは、骨盤の底で膀胱・子宮・直腸といった臓器をハンモックのように支えている筋肉の総称です。正確にはいくつもの筋肉の集まりで、「骨盤底筋群」とも呼ばれます。
役割は大きく2つ。内臓を下から支えることと、尿道・膣・肛門を締めたりゆるめたりして排泄をコントロールすることです。
やっかいなのは、この筋肉が外から見えないことです。腕なら力こぶで確認できますが、骨盤底筋は動いているかどうかを目で確かめられません。衰えても気づきにくく、「もれた」という結果になって初めて存在を意識する。そういう筋肉です。
尿もれには3つのタイプがある
ひとくちに尿もれと言っても、タイプによって原因も対処も変わります。代表的な3つを表に整理しました。
| タイプ | どんなときに起こるか | 主な背景 |
|---|---|---|
| 腹圧性尿失禁 | くしゃみ・咳・笑ったとき・重い物を持ったとき・運動中 | 出産や加齢による骨盤底筋のゆるみ。女性の尿もれで最も多いタイプ |
| 切迫性尿失禁 | 急に強い尿意が来て、トイレまで間に合わない | 膀胱が過敏になる「過活動膀胱」など |
| 混合性尿失禁 | 上の2つが両方起こる | 腹圧性と切迫性の原因が重なった状態 |
国内の疫学調査では、40歳以上の女性のおよそ3人に1人が尿もれを経験していると報告されています(調査時点や対象によって有訴率は3〜4割と幅があります)。それだけの人が抱えているのに、医療機関に相談する人はごく一部。恥ずかしさが、この症状を見えにくくしています。ピラティスで改善を目指しやすいのは、このうち骨盤底筋のゆるみが原因となる腹圧性尿失禁と、混合性のうち腹圧性の要素です。急な尿意が主体の場合は膀胱側の問題が関わっていることがあるため、後半でお伝えする受診の目安もあわせて確認してください。
放っておくと「外出を控える」悪循環へ
尿もれそのものが命に関わることは、まずありません。本当の問題は、行動が少しずつ縮んでいくことです。
長時間のバス旅行を断る。ジョギングをやめる。人前で大笑いするのを、どこかでセーブする。トイレの場所を先に確認しないと落ち着かない。こうして運動量が減ると、骨盤底筋も全身の筋肉もさらに衰えて、症状が進む。この悪循環が静かに回り始めます。
骨盤底筋の衰えは、尿もれ以外の形でも現れます。内臓を支える力が落ちることによる下腹のぽっこり、進行すると膣から臓器が下がってくる骨盤臓器脱につながることもあります。「まだライナーで済んでいるから」と先送りせず、軽いうちに動き始める。それが一番コストの低い対策です。
骨盤底筋がゆるむ4つの原因
骨盤底筋がゆるむ主な原因は、出産、加齢と閉経、腹圧をかけ続ける生活習慣、運動不足の4つです。どれかひとつではなく、複数が重なって進むことがほとんどです。
- 出産──分娩のとき、骨盤底筋は大きく引き伸ばされます。産後に回復はしていくものの、ケアをしないまま年月がたつと、ゆるみが残ることがあります
- 加齢と閉経──女性ホルモン(エストロゲン)の減少にともない、骨盤底の筋肉や組織はハリを失いやすくなります。50代前後から尿もれの相談が増えるのはこのためです
- 腹圧をかけ続ける生活──慢性的な咳、便秘のいきみ、重い荷物の持ち運び、体重の増加。上から押す力が続くと、ハンモックは少しずつ伸びていきます
- 運動不足と姿勢──骨盤底筋も筋肉なので、使わなければ痩せていきます。猫背や反り腰で腹圧の逃げ道が真下に向くと、負担はさらに増えます
徳島は車移動が中心の街です。買い物も送り迎えもドアからドアで完結して、意識しなければ歩く量は増えません。「出産した人の悩み」と思われがちな尿もれが、出産経験のない方や男性にも起こるのは、加齢や生活習慣だけでも骨盤底筋は衰えるからです。
今日からできる対策もあります。重い荷物は体に引き寄せてから持ち上げる。便秘を放置しない。くしゃみが出そうなときは、先に骨盤底筋を軽く締めてから──「ナック」と呼ばれる方法で、もれる瞬間の圧に先回りするテクニックです。地味ですが、ハンモックへの負担は確実に減らせます。
骨盤底筋トレーニングになぜピラティスが向いているのか
理由は2つあります。呼吸と連動させることで「感覚のつかみにくい筋肉」を動かす糸口を作れること。そして骨盤底筋を単独ではなく、体幹の深層筋チームの一員として鍛えられることです。
呼吸が「見えない筋肉」への入口になる
骨盤底筋は横隔膜と連動しています。息を吸うと横隔膜が下がり、骨盤底筋もわずかに下がる。吐くと横隔膜が上がり、骨盤底筋も引き上がる。呼吸のたびに、この筋肉は静かに上下しているのです。
ピラティスはこの仕組みをそのまま使います。肋骨を横に広げるように吸い、口から細く長く吐きながら、下腹の奥がすっと引き上がる感覚を探す。「骨盤底筋を締めてください」と言われてもピンとこなかった方が、呼吸を介すると「これか」とつかめる瞬間があります。
スタジオのセッションでは、手で肋骨の動きを確かめながら、吐く息の長さを少しずつ延ばしていきます。がんばって締めるのではなく、呼吸の設計で自然に引き上がる条件を作る。ここが筋トレとの発想の違いです。
「チーム」で鍛えるから、とっさの瞬間に間に合う
インナーユニットとは、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋の4つで構成される、お腹まわりの深層の安定システムのことです。天井が横隔膜、壁が腹横筋と多裂筋、床が骨盤底筋。この箱がバランスよく働くことで、腹圧は適切にコントロールされます。
尿もれが起こるのは、くしゃみや着地で腹圧が一気に高まった瞬間です。床だけを鍛えても、天井と壁の使い方が変わらなければ、圧は結局真下に抜けます。ピラティスは4つを連動させながら全身を動かすため、「とっさの瞬間に体が勝手に支えてくれる」状態を目指せます。トイレの回数を数える毎日から、くしゃみを気にせず笑える体へ。狙うのはそこです。
ケーゲル体操(骨盤底筋体操)との違い
尿もれ対策として広く知られているのがケーゲル体操です。骨盤底筋を締めてゆるめる動きを繰り返す体操で、正しく続ければ有効性が確認されています。ピラティスとの違いを整理すると、次のようになります。
| ケーゲル体操 | ピラティス | |
|---|---|---|
| 鍛える対象 | 骨盤底筋を単独で | 骨盤底筋を含むインナーユニット全体 |
| 正しさの確認 | 自分の感覚だけが頼り | 呼吸・姿勢・動きの質から確認できる |
| 続けやすさ | 単調で自己流になりやすい | 動きのバリエーションが豊富で飽きにくい |
| 効果の範囲 | 尿もれ対策に特化 | 姿勢・腰痛・ぽっこりお腹など全身に及ぶ |
ケーゲル体操の弱点は、正しくできているかを自分で確認しにくいことです。締めているつもりでお尻や太ももに力が入っていたり、息を止めて逆に腹圧をかけていたり。自己流で続けて「効果がなかった」とやめてしまう方は少なくありません。
海外のガイドラインでも、骨盤底筋トレーニングは少なくとも3ヶ月、指導を受けながら続けることが推奨されています。つまり「やり方の確認とセットで」が前提の運動なのです。両者は対立するものではなく、ケーゲル体操で身につけた収縮の感覚を、ピラティスで動きの中に統合していく。そう考えると相性の良い組み合わせです。
自宅でできる骨盤底筋ピラティス3選
スタジオでお伝えしているものの中から、自宅で安全に取り組めるエクササイズを3つ選びました。共通のルールは2つ。息を止めないこと、お尻や太ももの力で代償しないことです。
①仰向けの引き上げ呼吸
- 仰向けで両ひざを立て、腰と床の間に自然なすき間を保つ
- 鼻から吸って、肋骨を左右に広げる
- 口から細く長く吐きながら、尿を途中で止めるときに使う場所を「奥へ、上へ」と引き上げる
- 吸うときにゆるめる。10回×2セット
引き上げる力は全力の3割で十分です。強く締めようとするとお尻に力が入るので、「静かに、内側だけ」を守ってください。
②ペルヴィックカール(骨盤の巻き上げ)
- 仰向けでひざを立て、吐きながら骨盤を軽く後ろに傾ける
- 尾骨から背骨を一節ずつ床から剥がすように、お尻を持ち上げる
- 肩からひざまでが一直線になったら、鼻から吸って準備
- 吐きながら胸の後ろから順に、一節ずつ下ろす。5〜8回
下ろすときこそ骨盤底筋の出番です。ゆっくり、背骨のひとつひとつを感じながら下りてください。
③椅子に座ってできる引き上げ
- 坐骨(お尻の下の骨)で座面をとらえ、背すじを軽く伸ばす
- 吐く息に合わせて、座面から下腹の奥へ引き上げる
- 3秒キープしてゆるめる。10回
デスクワークの合間、信号待ちの車の中。生活に混ぜ込めるのがこの種目の良さです。道具も着替えもいりません。
あわせて、つまずきやすいポイントを挙げておきます。ひとつは息を止めてしまうこと。力むと呼吸が止まり、腹圧が下向きにかかって逆効果になります。もうひとつは、お尻や内ももに力が入ること。手をお尻に当てて、硬くなっていないか確かめながら行うと分かりやすくなります。そして、毎日100回のような頑張りすぎ。疲れた状態で雑に繰り返すより、丁寧な10回のほうが結果につながります。回数より質です。
注意点をひとつだけ。やってみて症状が強まる、痛みが出るという場合は中止して、医療機関に相談してください。がんばり方を間違えると、腹圧のかけすぎで逆効果になることがあるからです。
セルフケアで変わらないときに考えたいこと
3ヶ月続けても変化がない場合、やり方が合っていないか、運動以外の原因が隠れているか。このどちらかを疑います。
泌尿器科・婦人科を受診したほうがよいサイン
- 急に尿もれが始まった、急に悪化した
- 血尿がある、排尿時に痛みがある
- 残尿感が続く、トイレの回数が極端に増えた
- 急な強い尿意が主体で、間に合わないことが多い
- 骨盤の中から何かが下がってくる感覚がある
これらは膀胱や臓器側の問題が関わっている可能性があり、運動だけで対処するべきではありません。ピラティスは医療の代わりではなく、医療と並走するコンディショニングです。受診をためらう気持ちはよく分かります。それでも、原因がはっきりするだけで対策はぐっと立てやすくなります。
もうひとつ、逆効果になりやすい自己対策があります。もれるのが怖くて水分を極端に控えることです。尿が濃くなって膀胱への刺激が強まり、かえって尿意が増すことがあります。水分は普通にとりながら、体の側を整える。順番を間違えないでください。
徳島で理学療法士と一緒に取り組むという選択肢
「自己流のケーゲル体操を1年続けたけれど、変わった気がしなくて」。Relizeでよくいただくご相談です。1年分の努力が実らなかったのは、意志の弱さではなく、確認する手段がなかったからです。
Pilates & Conditioning Relizeは、在籍スタッフ全員が理学療法士のパーソナルピラティススタジオです。レッスンの前に姿勢・呼吸・腹圧のかかり方を評価し、骨盤底筋が働ける条件が整っているかを確認してからプログラムを組みます。締める練習の前に、締められる姿勢を作る。この順番が結果を分けると考えているからです。
産前産後・骨盤まわりのケアは、理学療法士として13年の臨床経験を持つ森本綾那が担当します。「くしゃみのたびにヒヤッとする」「二人目の産後からずっと続いている」──完全マンツーマンの空間なので、グループレッスンでは口にしにくい悩みも、そのまま相談していただけます。
体験レッスンの流れは、カウンセリング、姿勢と呼吸の評価、マシンを使った動きの確認、自宅で続けるエクササイズの提案、の順です。リフォーマーというマシンはバネの補助がつくため、自分の力だけでは見つけられなかった「正しい方向」を体が覚えやすいという利点があります。1ヶ月ごとに体を再評価し、変化に合わせてプログラムを組み替えていきます。
入会金はありません。体験レッスンは通常6,000円のところ、ホットペッパービューティー経由なら2,980円から受けられます。
想像してみてください。子どもと本気で縄跳びをしている自分。眉山の階段をためらわず駆け上がる自分。おかしいときに、お腹を抱えて笑っている自分。
骨盤底筋は、いくつになっても鍛え直せる筋肉です。「年だから仕方ない」で片づけるには、あなたのこれからは長すぎます。最初の一歩は、仰向けの呼吸ひとつからで構いません。一人で抱え込まないでください。
よくある質問
Q尿もれ対策のピラティスは男性にも効果がありますか?
あります。男性も前立腺の手術後などに尿もれが起こることがあり、骨盤底筋トレーニングは男性にも広く指導されています。骨盤底筋の位置や感覚のつかみ方は男女で異なるため、Relizeでは理学療法士が体の状態を評価したうえで、その方に合った誘導を行います。男性のお客様も通われていますので、安心してご相談ください。
Qどのくらいの期間で変化を感じられますか?
目安は3ヶ月です。筋肉が変わるには時間がかかり、海外のガイドラインでも骨盤底筋トレーニングは3ヶ月以上の継続が推奨されています。一方で、呼吸と姿勢が整うことで初回から「引き上がる感覚が分かった」とおっしゃる方もいます。症状の程度や原因によって個人差がありますので、焦らず続けることを前提にお考えください。
Q産後どのくらいから始められますか?
1ヶ月健診で医師の許可を得てから、産後2ヶ月ごろに始める方が多いです。帝王切開の場合はさらに時間をかけます。産後は骨盤底筋がダメージから回復していく時期なので、強い負荷ではなく呼吸と姿勢の確認から段階的に進めます。時期の考え方は産後ピラティスの記事に詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
Q駐車場はありますか?
福島店・田宮店(Relize Melt)ともに駐車スペースをご用意しています。詳しい場所はご予約後にご案内します。
ビフォーアフター・口コミ

徳島で始めるなら──Pilates&Conditioning Relize
骨盤底筋のトレーニングは、正しくできているかどうかで結果が変わります。徳島でスタジオを探すなら、レッスンの前に体の評価をしてくれる場所を選んでください。
Pilates & Conditioning Relize(福島店)
- 徳島県徳島市福島2丁目2-4 山内ビル1F 南側テナント
- 電話:080-2348-4760
- 徳島駅から車で10分/駐車場あり
- 骨盤底筋・産前産後のケアは森本が担当します
Relize Melt(田宮店)
- 徳島県徳島市北田宮4丁目3-8
- 電話:070-9440-2067
- JR佐古駅から田宮街道方面へ。阿波銀行 田宮支店を少し過ぎた道路反対側、カラーズヘア様の隣/店舗前に駐車場3台
- 営業時間 10:00〜21:00(最終受付20:00)/定休日 日曜・祝日
ご予約方法
初回は体験レッスンからご案内しています。ご予約時に「気になっている症状」をひとことお知らせいただけると、当日の評価がスムーズです。もちろん、当日に直接お話しいただく形でもかまいません。
- 福島店を予約する/お電話 080-2348-4760
- 田宮店(Relize Melt)を予約する/お電話 070-9440-2067
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