デスクワークの肩こりに悩む人は多く、夕方になると肩が重くなる、首を回すと付け根が張る、といった状態が毎日のように続いている方もいます。
マッサージや湿布で一時的に楽になっても、翌日また同じ場所が張ってくる。この繰り返しになりやすいのは、肩そのものより、座り方が変わらないまま毎日が続いていることが関係していると、理学療法士の立場からは考えています。
徳島市内のオフィスで一日パソコンに向かう方も、自宅でリモートワークをする方も、座ったまま画面を見続ける時間の長さは変わりません。
理学療法士・ピラティスインストラクターの立場から、厚生労働省の調査とガイドラインが示していることをまず確認します。そのうえで、座り姿勢が肩と首に負担をかける仕組み、仕事の合間にできる動き、ピラティスで姿勢の土台を整える考え方を順に説明します。
厚生労働省の調査で見る肩こりの多さ
肩こりは、日本人が自覚する体の不調の中でも上位にある症状です。厚生労働省の2022年国民生活基礎調査(2023年7月公表)が、そのことを示しています。
この調査では、病気やけがなどで自覚症状がある人を「有訴者」と呼び、その割合を人口千人当たりで出しています。2022年の有訴者率は276.5で、男性は246.7、女性は304.2でした。女性のほうが高い結果です。
症状別に見ると、男女とも「腰痛」「肩こり」の順に有訴者率が高くなっています。肩こりは、性別を問わず多くの人が抱えている不調だといえます。
健康の状況をまとめた章が公表されている国民生活基礎調査としては、この2022年の調査が現時点で最新です。
ただし、この調査が示しているのは自覚症状がある人の割合です。その肩こりがデスクワークによるものかどうかまでは、数字からは分かりません。
ここから先の話は、調査の数字ではなく、理学療法士として体を見てきた立場からの説明として読んでください。
デスクワークの区切り方、厚生労働省のガイドラインの目安
厚生労働省は、パソコンやタブレットなどを使う作業について「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を2019年に定めています。そのパンフレットには、作業の区切り方の目安が書かれています。
作業は1時間以内で1サイクルとします。
サイクルとサイクルの間に、10〜15分の作業休止をとります。
サイクルの途中にも、1〜2回の小休止をとります。
同じパンフレットは、小休止や作業休止中のストレッチが肩の疲れを防ぐとしています。座り方については、椅子に深く座り、足裏全体を床につけることが挙げられています。
会議が続く日や締め切り前に、この区切りをきっちり守るのは簡単ではありません。
それでも「1時間座ったら一度立つ」を基準にしておくと、座りっぱなしの時間は区切られます。休憩も作業の一部として、あらかじめ予定に入れておくと守りやすくなります。
在宅勤務の日は、とくに区切りがなくなりがちです。通勤や移動、同僚との立ち話がない分、気づけば昼まで一度も立っていなかった、ということも起こります。
食卓やソファで作業していると、椅子の高さも画面の位置も合わせにくくなります。自宅で働く日ほど、区切りの時間を先に決めておくほうが守りやすくなります。
デスクワークで肩と首に負担が集まる仕組み
座ったまま画面を見続けると、頭が体より前に出た姿勢が長く続き、首から肩の筋肉が頭を支えるために休みなく働きます。デスクワークの肩こりの背景として考えられている仕組みの一つです。
頭が前に出る姿勢と首・肩の筋肉
頭は、背骨の真上にあるときに骨で支えやすくなります。画面をのぞき込むように顔が前に出ると、頭の重さを首の後ろや肩の筋肉が引っ張って支える形に変わります。
首の後ろから肩、背中の上部に広がる僧帽筋や、首の横から肩甲骨につながる肩甲挙筋は、この姿勢で働き続けやすい筋肉です。強い力ではなくても、同じ筋肉が長い時間ゆるまないことが、張りや重さとして感じられやすくなります。
画面の位置が低いノートパソコンや、ソファに座っての作業は、この姿勢になりやすい環境です。スマートフォンを見下ろす時間が加わると、首が前に傾いている時間はさらに長くなります。
肩甲骨が動きにくくなる
肩甲骨は背中側にある平たい骨で、腕を上げたり前に伸ばしたりするたびに、肋骨の上をすべるように動きます。
キーボードとマウスを使う姿勢では、腕が体の前に置かれたままになり、肩甲骨は外側に開いた位置で止まりがちです。動かない時間が長いと、肩甲骨まわりの筋肉は同じ長さのまま固まりやすくなります。
腕を後ろに回すと肩が詰まる感じがする場合は、肩甲骨の動きが小さくなっていることがあります。
肩甲骨を背骨側に寄せられない状態が続くと、胸の前が縮んだ姿勢、いわゆる巻き肩に近い形にもなりやすくなります。肩こりを肩だけの問題として見ないのは、このつながりがあるためです。
背中が丸まると呼吸も浅くなりやすい
背中が丸まり、胸の前が縮んだ姿勢では、肋骨が広がりにくくなります。息を吸うときに主に働く横隔膜が使いにくくなり、首や肩の筋肉で胸を持ち上げるような呼吸になりやすいとされています。
首や肩の筋肉には、呼吸を補助する役割もあります。姿勢を支えるために働いたうえに、呼吸のたびにも使われると、休める時間はさらに減っていきます。
集中しているときに、気づくと息を止めていた、という経験がある方は、肩に力が入ったまま作業している時間が長いのかもしれません。
背中の上の背骨が丸まったまま固まる
肩こりの相談で、理学療法士が肩と同じくらい注目するのが、胸椎と呼ばれる背中の上の部分の背骨です。胸椎は肋骨とつながっていて、体をひねったり背中を反らしたりするときに、少しずつ動きます。
前かがみの姿勢が長く続くと、胸椎は丸まった形のまま動く機会が減っていきます。胸椎が伸びにくくなると、顔を上げて画面を見るために首の付け根だけを反らせる形になり、首への負担が一か所に集まりやすくなります。
肩をほぐしてもすぐに張りが戻る場合、私たちは肩だけでなく胸椎の動きも確認します。張りを感じる場所と、負担がかかっている場所が違うことがあるためです。
理学療法士がすすめる、自分でできる姿勢のセルフチェック
自分の姿勢の癖は、鏡を見るだけでは分かりにくいものです。レッスンの評価でも使う見方の中から、自宅で試しやすい3つを紹介します。
壁に背中をつけて立ち、頭の位置を確かめる
かかとを壁から少し離して立ち、お尻と背中を壁につけます。そのまま、あごを引きすぎずに後頭部が壁に軽くつくかを確かめます。
後頭部をつけようとすると、あごが上がったり腰が大きく反ったりする場合は、頭が前に出た位置が普段の姿勢になっている可能性があります。無理に押しつけず、どこに窮屈さを感じるかを覚えておくだけで十分です。
腕を前から上げて、肩甲骨の動きを見る
椅子に座って背すじを伸ばし、両腕を前からゆっくり耳の横まで上げます。鏡の前で行い、肩が耳のほうへすくみ上がっていないか、左右で上がり方に差がないかを見ます。
腕を上げる途中で肩がすくむ場合は、肩甲骨がうまく回らず、首まわりの筋肉で腕を持ち上げていることがあります。途中で痛みが出たら、そこで止めてください。
肋骨に手を当てて、呼吸の入り方を見る
両手を肋骨の横に当て、鼻からゆっくり息を吸います。手のひらが横に押し広げられる感じがあるか、それとも肩が先に上がるかを確かめます。
肩が先に上がる場合は、首や肩で呼吸を助ける癖がついていることがあります。3つのチェックは病気かどうかを判断するものではなく、自分の姿勢の癖を知るための目安です。
肩こりが気になる人が仕事の合間にできる小さな動き
ガイドラインの小休止と作業休止に合わせて、座ったままでもできる動きを入れると、同じ姿勢が続く時間を区切れます。道具は要りませんし、どれも短い時間で終わります。
| タイミング | 動き | 意識すること |
|---|---|---|
| 小休止(サイクルの途中) | 肩をすくめてから、息を吐きながらすとんと下ろす | 首をすくめたまま作業していなかったかを確かめる |
| 小休止(サイクルの途中) | 肩甲骨を背骨に寄せて胸を開き、ゆっくりゆるめる | 腰を反らせすぎない |
| 作業休止(1時間ごと) | 席を立って少し歩く | 画面から体ごと離れる |
| 作業に戻るとき | 椅子に深く座り直し、足裏全体を床につける | 骨盤を立てて、頭を背骨の上に戻す |
表の動きは、肩こりを治すためのものではありません。同じ筋肉が長くゆるまない状態を、こまめに区切るために行います。
2つ目の、肩甲骨を寄せる動きを少し詳しく書いておきます。
背もたれから背中を離して座り直し、両腕を体の横に下ろします。
息を吸いながら、肩をすくめずに左右の肩甲骨を背骨のほうへ寄せ、胸の前を広げます。
息を吐きながら、寄せた肩甲骨をゆっくり元の位置に戻します。
このとき、胸を張ろうとして腰を大きく反らせる方がいます。動かしたいのは背中の上のほうなので、お腹を軽く引き込んだまま、肩甲骨だけを動かすつもりで行ってください。数回で十分です。
一度に長くやるより、1時間ごとに思い出せるほうが続けやすくなります。付せんやスマートフォンのタイマーで、区切りの時間を知らせておくのも一つの方法です。
作業環境も見直す価値があります。ノートパソコンを台に載せて画面を少し高くしたり、椅子の高さを変えて足裏が床につくようにしたりする。それだけで、頭が前に出る時間は短くなりやすいものです。
動かして痛みが強くなるときは、その場でやめてください。強い痛みや手の違和感、頭痛が続く場合は、自己判断で続けずに医療機関に相談してください。
理学療法士が見直してほしい、デスクワーク中の座り方と習慣
肩こりが気になるときは、運動を足す前に、一日の中で長く続いている姿勢と習慣を見直してください。レッスンでお伝えしている内容を表にまとめました。
| 見直すところ | よくある状態 | 理学療法士からのアドバイス |
|---|---|---|
| 座る位置 | 背もたれに寄りかかり、お尻が前にずれている | お尻の下にある坐骨に体重を乗せて座る |
| マウスの位置 | 体から遠く、腕が前に伸びたまま | マウスを体に近づけ、肘が体の横に来るようにする |
| 画面の向き | 体の斜め前にあり、首をひねって見ている | 画面を体の正面に置く |
| 電話 | 受話器を肩と耳で挟んで話す | ヘッドセットやスピーカーを使う |
| 荷物 | いつも同じ側の肩にバッグをかける | かける側を入れ替える、リュックを使う |
表の中で見落とされやすいのが、マウスの位置です。腕が体から離れているほど、肩の前側と肩甲骨まわりの筋肉は、腕の重さを支え続けることになります。
「良い姿勢」を意識して胸を大きく張り、腰を反らせたまま座ると、腰や背中が疲れやすくなり、長くは続きません。骨盤を立てて背骨の上に頭を乗せ、肩の力は抜いておくのが、理学療法士としておすすめしている座り方です。
強くもむ、首を鳴らす前に
肩が張ると、強くもんだり、首を勢いよくひねって鳴らしたりしたくなります。
首を勢いよくひねる動作は首の関節に急な力がかかるため、理学療法士としてはおすすめしていません。ほぐすときは、息を吐きながらゆっくり首を傾ける、肩を回すといった、反動を使わないやり方を選んでください。
仕事のあとの時間も姿勢は続いている
仕事が終わったあとも、スマートフォンを見下ろす時間が長いと、首が前に傾いた状態はそのまま続きます。デスクワークの時間だけを見直しても、一日の合計で見ると前かがみの時間はあまり減っていないことがあります。
寝る前に仰向けになって膝を立て、ゆっくり呼吸をする時間をつくるのは、一日中前に向いていた体を切り替えるきっかけとして、レッスンでもよくお伝えしている習慣です。
ピラティスで姿勢の土台を整える
仕事の合間のストレッチが固まった筋肉をゆるめるものだとすると、ピラティスは、座り続けても崩れにくい姿勢の土台をつくるための運動です。
肩をもみほぐしても、翌日また同じ姿勢で一日座れば、筋肉は同じ使われ方を繰り返します。肩こりを肩だけで考えず、頭・背骨・骨盤の並び方から見直すことが、理学療法士としてレッスンを組み立てるときの出発点です。
体幹が働くと、肩の力を抜きやすい姿勢になる
座っているとき、体を支えているのは背骨と骨盤、そのまわりの体幹の筋肉です。お腹の深いところにある腹横筋や、背骨に沿った細かい筋肉が働くと、骨盤が立ち、背骨が縦に積み上がりやすくなります。
土台が安定すると、頭を支えるために首や肩ががんばる必要が減り、肩の力を抜きやすくなるとされています。
反対に、骨盤が後ろに倒れた座り方では背中が丸まり、頭が前に出る姿勢につながりやすくなります。椅子の背もたれに寄りかかって浅く座る癖がある方は、この形になっていることが多いです。
肩甲骨を正しい位置で動かす練習
ピラティスには、腕の動きに合わせて肩甲骨を動かす種目が多くあります。ねらいは、肩をすくめずに肩甲骨を動かす感覚をつかむことです。
マシンのスプリングは、動きの補助と抵抗の両方になります。腕を引く、押すといった動作をスプリングに支えてもらいながら行うと、肩に余計な力を入れずに肩甲骨を動かす練習ができます。
肩を下げたまま腕を動かしてみると、デスクワーク中に肩甲骨がほとんど動いていなかったことに気づく場合があります。
呼吸から入り、首や肩で吸う癖に気づく
ピラティスは呼吸に合わせて体を動かします。息を吐きながらお腹を軽く引き込み、吸うときは肋骨を横に広げます。この練習をすると、首や肩で息を吸っていた癖に気づきやすくなります。
呼吸の練習は、激しい運動が苦手な方でも最初から取り組める内容です。仕事中にふと肩が上がっているのに気づいたとき、レッスンで覚えた呼吸を一度だけ試す、といった使い方もできます。
マンツーマンで座り方の癖と姿勢を確認する
肩こりの出方は人によって違います。右手でマウスを使う時間が長い方、画面が体の左側に置かれている方、脚を組む癖がある方など、左右差の出方もそれぞれです。
Relizeのレッスンは完全マンツーマンのパーソナル60分です。最初に理学療法士が姿勢や肩甲骨の動き、呼吸の状態を確認してから内容を組み立てます。
デスクワークの環境や座っている時間もうかがったうえで、レッスン外の仕事中に取り入れやすい動きや、避けたほうがよい座り方もお伝えしています。
徳島でピラティスを週1回から始める段取り
最初から頻度を上げる必要はありません。週1回のレッスンと、仕事中の小休止を組み合わせるところから始めるのが、続けやすい形です。
徳島で体験レッスンから始める流れ
体験レッスンでは、座った姿勢と立った姿勢、肩甲骨や首の動き、呼吸の状態を確認し、その日の体に合わせた動きを試していただきます。
「仕事帰りで疲れていても大丈夫ですか」と聞かれることがあります。その日の体の状態を見て強度を調整しますので、疲れた日にこそ、今の体を確認する機会として使ってください。
最初のレッスンで確認する姿勢のポイント
デスクワークで肩こりが気になる方の場合、最初に見るのは座った姿勢です。骨盤が立っているか、頭が背骨の上にあるか、左右の肩の高さに差がないかを確認します。
次に、腕を上げたときに肩甲骨がどう動くか、首をまわしたときにどこで動きが止まるかを見ます。呼吸では、息を吸ったときに肋骨が横に広がるか、肩が先に上がるかを確かめます。
こうした確認をしてから動きを選ぶのは、同じ肩こりでも、負担のかかり方が人によって違うためです。評価の結果は、その場でお伝えしています。
頻度と続け方の目安
週1回のレッスンで姿勢の土台を確認し、平日はガイドラインの区切りに合わせて小さな動きを入れます。レッスンの60分と仕事中のこまめな休止を、セットで考えると続けやすくなります。
繁忙期で通えない週があっても、そこでやめる必要はありません。間隔は体の状態を見ながら、その都度相談して決められます。
変化の感じ方には個人差があります。1回で大きく変わるというより、座り直すときに骨盤の位置を思い出せるようになる、といった小さな気づきを重ねていく進め方です。
よくある質問
Q肩こりがひどい状態でも、ピラティスはできますか?
最初に体の状態を確認し、負担の少ない動きから始めます。内容によって対応できる範囲が異なりますので、予約時や体験時にお伝えください。痛みが続いている場合は、運動を始める前に医療機関で相談してください。
Q運動経験がほとんどなくても大丈夫ですか?
はい。当スタジオは完全マンツーマンで、呼吸や姿勢の確認から始めます。マシンのスプリングが動きを補助するため、筋力に自信がない方でも取り組んでいただけます。
Q仕事の合間のストレッチだけでは足りませんか?
小休止や作業休止中のストレッチは、厚生労働省のガイドラインのパンフレットでも肩の疲れを防ぐとされていて、続ける価値があります。ピラティスでは、それに加えて座り方や体幹の使い方といった姿勢の土台を確認します。両方を組み合わせるのがおすすめです。
Q駐車場はありますか?
福島店・田宮店(Relize Melt)ともに、店舗前に駐車場があります。台数や場所は各店舗ページでご確認ください。
徳島でピラティスを始めるなら Pilates & Conditioning Relize
徳島県徳島市でパーソナルピラティスを提供するPilates & Conditioning Relizeは、福島店とRelize Melt(田宮店)の2店舗で体験レッスンを受け付けています。インストラクターは全員が理学療法士です。
体験レッスンは通常¥8,200ですが、ホットペッパービューティーの新規限定クーポンをご利用いただけます(福島店は¥4,980、田宮店も新規開店の特典をご用意しています)。
クーポンの内容は時期によって変わりますので、最新の金額はご予約ページでご確認ください。入会金はいただいておりません。
デスクワークの肩こりは、座る時間が長い働き方と切り離しにくい不調です。肩だけでなく座り方と姿勢の土台から見直したいと感じたら、体験レッスンで今の体の状態を確認してみてください。
参考
- 厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(2023年7月公表):https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/04.pdf
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」パンフレット(2019年12月作成):https://www.mhlw.go.jp/content/000580827.pdf
