通勤や家事の合間に、体を動かす時間がどんどん後回しになっていく。気づけば今週、一度も運動していない――そんな感覚に心当たりのある女性は、少なくないはずです。
2026年3月、スポーツ庁が公表した調査で、週に1日以上スポーツをしている女性の割合が男性より低く、その差が過去最大になったことが明らかになりました。
数字だけを見ると、女性の運動不足が際立っているように映るかもしれません。けれど、この差の背景にあるのは「意志の強さ」の違いではなく、日々の生活の組み立て方そのものです。
徳島でピラティスの現場に立つ理学療法士の立場から、調査が示している事実と、運動習慣が続きにくくなる一般的な要因、そしてピラティスが運動の入口になりやすい理由を、体の仕組みから順番に説明します。
眉山のふもとを散歩する人、新町川沿いをジョギングする人。休日の徳島市内を歩いていると、体を動かしている人の姿はたしかに目に入ります。
一方で、平日の仕事終わりや家事の合間に「今から30分だけ運動する」を選べる人は、思っているより少ないものです。運動をしない理由は人それぞれで、一つの言葉で片づけられるものではないはずです。
スポーツ庁の調査で見えた女性と男性の運動実施率の差
スポーツ庁の令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、20歳以上で週1日以上スポーツを実施している人の割合は、男性が55.0%、女性が48.8%でした。男女差は6.2ポイントで、これまでの調査の中で最大になっています。
実施している時間にも差が表れています。1週間あたりの運動・スポーツ実施時間の中央値は、男性が90.0分だったのに対し、女性は59.8分でした。時間にすると、1週間で30分ほどの開きです。
この結果は日本スポーツ栄養協会のスポーツ栄養Webでも取り上げられ、男女差の拡大が指摘されました。
ここで確認しておきたいのは、この調査が示しているのはあくまで「実施率」と「時間」の差だという点です。なぜ差が生まれているのか、その理由までは調査結果に書かれていません。ここから先は、現場で見えてくる一般的な傾向として読んでください。
数字を見て「自分も当てはまる」と感じた方に伝えたいのは、この差は個人の資質の差ではなく、社会全体で見えている傾向だということです。一人だけが特別に運動不足というわけではなく、同じ状況にある人はたくさんいます。
なぜ女性の運動習慣は少なくなりやすいのか
運動不足の理由を「本人のやる気の問題」で片づけてしまうのは簡単です。けれど、実際に現場で話を聞いていると、背景にあるのはもっと構造的な事情であることがほとんどです。
ここで挙げる要因は、調査で確認されたものではなく、日々の相談やレッスンの中で繰り返し見えてくる、一般的な傾向として紹介するものです。すべての人に当てはまるわけではありませんが、心当たりのある方は多いはずです。
忙しさという壁
仕事や家事、育児、介護。一日の時間の使い道を誰かと共有している女性は多く、自分のための時間を確保すること自体が難しくなりがちです。「時間がない」は言い訳ではなく、実際の制約です。
隙間時間ができても、自然と家族や仕事の用事が優先されていきます。これは意志の強さの問題というより、時間の配分の問題です。
「今日はまとまった時間が取れそうだから運動しよう」という発想だと、いつまでも始まりません。まとまった時間ではなく、細切れの時間でも成立する運動を選ぶことが、忙しさへの現実的な対処になります。
たとえば、歯みがきの間に片足ずつ立ってみる。
寝る前に仰向けで5回、ゆっくり息を吐く。
週に1回だけは、運動の予定を仕事の予定と同じように手帳に書く。
どれも数分で終わることですが、「体を動かす時間がある週」を積み重ねる入口になります。
運動への苦手意識という壁
学生時代の体育の授業や部活動での経験から、運動そのものに苦手意識を持っている人も少なくありません。ジムやスタジオに一歩踏み出すこと自体に、心理的なハードルを感じる方もいます。
「うまくできるか分からない」「周りの目が気になる」という不安が、運動から足が遠のく一因になっているケースは珍しくありません。
運動が得意な人にとっては小さなハードルでも、苦手意識がある人にとっては最初の一歩そのものが重い課題になります。スタジオの入り口をくぐる前に、この心理的な壁で足が止まってしまう方を、現場でも何人も見てきました。
一人で続ける難しさ
運動は、始めることよりも続けることのほうが難しいものです。目標や進め方を一人で決めて、一人で継続するのは、想像以上に負荷の高い作業です。
誰かに体の状態を見てもらいながら進められる環境があるかどうかで、続けやすさは大きく変わってきます。
アプリやSNSで励まし合う仕組みも増えていますが、画面越しのやり取りだけでは、実際の体の変化までは把握できません。今日の可動域や左右差といった具体的な情報は、対面で体を見てもらって初めて分かることです。
こうした壁は、どれも「本人の頑張り不足」では説明がつきません。環境や仕組みのほうを、続けやすい形に変えていくことが、運動習慣を取り戻す近道です。
ピラティスが運動習慣の入口になりやすい理由
私たちが徳島でピラティスを勧めているのは、体幹を鍛えられるからというだけではありません。マンツーマン・マシンの補助・呼吸から入る組み立てが、運動が苦手な人でも取り組みやすい設計になっているためです。
運動初心者でも体に負担をかけにくい理由
ピラティスのマシンには、スプリングによる抵抗と補助の両方の役割があります。自重だけでは支えきれない動きも、マシンが軌道と負荷を調整してくれるため、関節に無理な力がかかりにくくなります。
筋力に自信がない人ほど、この補助を感じやすい傾向があります。最初から正しい姿勢で動く感覚を体に覚えさせられることが、ケガをしにくい体づくりにつながっていきます。
自己流で体を動かすと、フォームが崩れたまま回数だけを重ねてしまい、かえって特定の部位に負担が集中することがあります。マシンが軌道を示してくれる分、フォームを気にしすぎず、動きそのものに集中できる点も始めやすさにつながっています。
運動器具というと、大きく重いイメージを持たれることもありますが、ピラティスのマシンはスプリングの強さを細かく変えられる構造になっています。同じ種目でも、その日の体力に合わせて負荷を下げたり上げたりできるため、体力に波がある人でも続けやすい仕組みです。
マンツーマンで支える運動習慣の続けやすさ
大人数のクラスでは、自分の体の状態に合わせて動きを調整してもらうことは簡単ではありません。マンツーマンであれば、その日の体調や可動域に合わせて、毎回メニューを組み立て直せます。
「今日はここが動きにくい」という変化に気づいてもらえること自体が、一人で続けるよりも安心材料になります。
体調や生活リズムは週によって変わるものです。先週できた動きが今週は硬く感じる、ということも珍しくありません。その変化を毎回拾いながら進められる仕組みが、運動習慣として長く続く理由の一つになっています。
呼吸と姿勢から始めることの意味
ピラティスは、体を激しく追い込むタイプの運動とは性格が異なります。呼吸に合わせて体幹の深い部分の筋肉を働かせ、姿勢を整えることから始まります。
呼吸と姿勢という土台から入ることで、運動経験がない人でも最初の一歩でつまずきにくくなります。体を大きく動かす前に「今の姿勢で無理がないか」を確認できる点も、体力に自信がない人にとって安心感につながります。
体幹の深い部分には、お腹を帯のように囲む腹横筋、背骨に沿って細かく付いている多裂筋、骨盤の底で内臓を支える骨盤底筋、呼吸で上下する横隔膜があります。これらは単独ではなく、呼吸に合わせて一緒に働くのが特徴です。
息を吐きながらお腹を軽く引き込むと、これらの筋肉が同時に働き、背骨と骨盤が安定しやすくなります。重いものを持ち上げるような大きな力は要らず、横になった姿勢や座った姿勢でも練習できます。
運動から長く離れていた方がいきなり走ったり跳んだりすると、この土台が働かないまま膝や腰に負担がかかりやすくなります。呼吸と体幹の使い方を先に確認しておくと、ウォーキングや家事、ほかの運動に移ったときにも役立ちます。
無理なく安全に始めるために確認しておきたいこと
体を動かすこと自体に不安がある場合、最初に確認しておきたいことがあります。
持病がある方、妊娠中や産後まもない方、痛みが続いている方は、運動を始める前に一度、主治医に相談してください。これはピラティスに限らず、どの運動にも共通する基本です。
頻度は、いきなり毎日でなくて構いません。週1回のペースから始め、体の反応を見ながら間隔を調整していくのが、無理のない進め方とされています。
動作中に痛みが出た場合はその場で中止し、翌日以降も違和感が続くようなら、無理をせず専門家に相談してください。
体調に不安がある状態で無理に運動量を増やすと、かえって回復を遅らせてしまうことがあります。「少し物足りないくらい」から始めるほうが、結果的に長く続けられる進め方だとされています。
運動習慣が体と気持ちにもたらす一般的な変化
ここからは、特定の効果を約束するものではなく、体を動かす習慣が定着してきた方に一般的に見られる変化として読んでください。
体幹まわりの筋肉が働きやすくなると、立ち姿勢や座り姿勢が安定しやすくなる傾向があるとされています。
呼吸のコントロールに慣れてくると、階段の上り下りが楽になったと感じる方もいます。ただし、感じ方には個人差があります。
「続けられている」という実感は、次の一歩を踏み出す後押しになりやすいものです。変化のスピードは人によってさまざまです。
1回のレッスンで劇的に変わるというより、少しずつ積み重なっていくものだと捉えるほうが実感に近いはずです。月に一度、同じ姿勢チェックを続けてみると、変化に自分で気づけるようになります。数字や見た目だけでなく、階段の上り下りが楽になった、朝の体の重さが軽くなった、といった生活の中の小さな実感を積み重ねていく感覚です。
徳島で運動習慣をゼロから作る段取り
運動習慣をつくる最初の一歩は、器具や回数を決めることではなく、今の自分の体の状態を知ることです。徳島で始める場合も、考え方は変わりません。
徳島で体験レッスンから始める流れ
最初のレッスンでは、姿勢や関節の可動域、左右差、呼吸の状態を確認したうえで、その日の体に合わせた動きを体験していただきます。運動から遠ざかっていた期間の長さは関係ありません。
「何年も運動していないので、体力がなさすぎて迷惑をかけないか心配です」というお問い合わせをいただくこともありますが、その状態を確認することが最初のレッスンの目的そのものです。今の体力に合わせて、強度も内容も調整します。
通勤で歩くこと、買い物、階段の上り下り。そうした日常の動きを支える体づくりとして捉えると、ピラティスは特別なことではなく、生活の延長線上にある選択肢になります。
頻度と続け方の目安
通う頻度は、体力や生活リズムに合わせて調整できます。最初から週2回、3回とハイペースを目指す必要はありません。以下は、体の状態別に見た始め方の目安です。
| 今の状態 | 始め方の目安 |
|---|---|
| 運動から長期間離れていた | 週1回のペースで、体の状態を確認しながら少しずつ慣らす |
| 忙しくてまとまった時間が取りにくい | 60分のパーソナルレッスンを予定に組み込み、隙間時間の自主トレを併用する |
| 運動への苦手意識が強い | まず体験レッスンで無理のない強度を確認してから、頻度を決める |
表からも分かるとおり、始め方に決まった正解はありません。今の状態に合わせて頻度を選べること自体が、運動習慣を無理なく続けるための条件になります。
頻度を決めたあとも、体調や仕事の繁忙期に合わせて間隔を見直して構いません。一度決めたペースを守ることより、無理なく続けられる形を都度選び直すことのほうが、長く続けやすくなります。
よくある質問
Q運動がまったく初めてでも、ピラティスから始められますか?
はい。運動経験がない方でも、無理なく取り組んでいただけます。当スタジオはマンツーマンで、最初に体の状態を確認したうえで、負荷の軽い動きから始めます。
Q週にどのくらいの頻度で通えばいいですか?
決まった正解はありません。多くの方は週1回のペースから始め、体の反応を見ながら間隔を調整しています。忙しい時期は間隔をあけ、余裕があるときに頻度を上げるなど、柔軟に変えていただいて構いません。まずは体験レッスンで、ご自身に合ったペースをご相談ください。
Q持病や痛みがあっても大丈夫ですか?
内容によって対応できる範囲が異なりますので、予約時や体験時にお伝えください。持病がある方、痛みが続いている方は、運動を始める前に主治医への確認をお願いしています。
Q駐車場はありますか?
福島店・田宮店(Relize Melt)ともに駐車スペースをご用意しています。詳しい場所はご予約後にご案内します。
徳島で始めるなら──Pilates & Conditioning Relize
徳島市内の2店舗、Pilates & Conditioning Relize(福島店)とRelize Melt(田宮店)で体験レッスンを受け付けています。各店舗の雰囲気や担当スタッフは、それぞれの店舗ページでご確認いただけます。
体験レッスンは通常¥8,200ですが、ホットペッパービューティーの新規限定クーポンをご利用いただけます(福島店は¥4,980、田宮店も新規開店の特典をご用意しています)。
クーポンの内容は時期によって変わりますので、最新の金額はご予約ページでご確認ください。入会金はいただいておりません。
体験レッスンの予約は、運動不足を解消する決意というより、今の体を確認する機会だと考えていただくくらいがちょうどいいはずです。
想像してみてください。
週に一度、決まった時間に体を動かす習慣があること。
「今日は疲れたから」と運動をやめずに済む生活。
鏡に映る自分の姿勢に、以前より少し安心できること。
大きな目標を掲げる必要はありません。週1回、60分だけ自分の体と向き合う時間を確保するところから始めてみてください。
運動不足は、性別や意志の強さだけで説明できるものではありません。始め方と環境を選べば、運動を続けるハードルは下げられます。
参考
- スポーツ庁(2026年3月公表):https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/jsa_00234.html
- スポーツ栄養Web(日本スポーツ栄養協会・2026年4月):https://sndj-web.jp/news/003909.php
