SNSで見かけた韓国のダンス動画。激しい振り付けの合間にふと映る、まっすぐ伸びた背筋と揺るがない体幹に、目を奪われたことはありませんか。
検索してみると「韓国アイドル ピラティス」という言葉がいくつも出てきて、韓国の芸能界ではピラティスが定番のコンディショニング法として定着しているらしい、というところまでは分かります。けれど、なぜダンスとピラティスが結びつくのか、その理由まではよく分からないまま検索窓を閉じた方も多いはずです。
徳島でK-POPダンスや運動を楽しむ方、姿勢の良さに憧れて情報を集めている方に向けて、ここでは2つのことを分けてお伝えします。
ひとつは、海外メディアが報じてきた事実そのもの。
もうひとつは、理学療法士としての体の仕組みの説明です。
派手な振り付けを支える体の中で何が起きているのかが分かれば、遠い世界の話ではなく、阿波踊りの練習で息が上がる自分の体にも重なる話として受け取れるはずです。
韓国アイドルとピラティスの人気はいつから広がったのか
韓国では少なくとも2017年ごろから、アイドルがピラティスに取り組む様子がメディアで報じられるようになりました。2021年には現地の女性誌がピラティス講師を特集するなど、芸能界のあいだで定着した習慣のひとつとして扱われています。
SBSニュースは2017年12月、当時活動していたアイドルがピラティスのマシンを使う様子をSNSに投稿し話題になったと報じました。
当時はまだ目新しいトレーニングとして紹介されていましたが、2021年にHarper’s BAZAAR Koreaがガールズグループのメンバーが通うピラティス講師を特集した頃には、体づくりの選択肢のひとつとして広く知られる存在になっていたようです。
ピラティス講師自身が取材対象になるなど、この数年で報道の扱われ方そのものにも変化が感じられます。
ここで触れているのは、あくまで海外メディアが報じてきた芸能界の動向です。私たち徳島のスタジオが、特定の人物やグループと関わりを持っているわけではありません。個人名やグループ名も、この先では扱いません。
気になるのは「なぜダンスに取り組む人たちがこぞってピラティスを選ぶのか」という点です。ここから先は報道を離れ、理学療法士の視点で体の仕組みから考えていきます。
なぜダンスを主体とする活動にピラティスが選ばれるのか
激しいダンスを長く続けるには、筋肉の大きさよりも、体幹の安定性と関節の正しい軌道を保つ力のほうが重要になるためです。ピラティスは、まさにこの「安定させながら動く」感覚を養うことに特化した運動です。
一般的な筋力トレーニングは、特定の筋肉を大きく強くすることを目的とします。一方でダンスの振り付けは、跳ぶ・回る・止まるを瞬時に切り替える動きの連続です。
筋肉が強くても体幹が不安定なまま動けば、着地の衝撃や回転の遠心力を、関節だけで受け止めることになります。狙う効果がそもそも違う、と考えると整理がつきやすくなります。
| 項目 | 一般的な筋力トレーニング | ピラティス |
|---|---|---|
| 主な狙い | 筋肉の大きさ・出力を高める | 体幹の安定性と動作の制御を高める |
| 動きのペース | 一定のリズムで反復する | 呼吸に合わせてコントロールする |
| 得意なこと | 特定の筋力を集中的に高める | 姿勢を保ったまま複雑な動きをつなぐ |
| 向いている場面 | 瞬発的にパワーを出す場面 | 反復動作による負担を分散させたい場面 |
表からも分かる通り、優劣ではなく役割の違いです。ジャンプや回転を繰り返すダンスの現場で、体幹の安定を担う運動としてピラティスが選ばれやすいのは、この役割の違いによるものだと考えられます。
筋力そのものは他のトレーニングでも高められますが、「動きの途中で軸を保つ力」だけを狙って鍛える運動は、実はそれほど多くありません。
バレエやフィギュアスケートも、体幹の安定が動きの精度に直結する分野です。ジャンルは違っても「軸をぶらさずに大きく動く」という体の使い方が求められる点は共通しており、ダンスとピラティスが結びつくのも、この共通点から見れば自然な流れだと言えます。
激しい動きを続ける体に起きやすい負担
反復動作を続ける体には、姿勢の崩れと左右差、関節への負担が蓄積しやすいという共通の課題があります。特別なことをしている人だけの話ではなく、長時間同じ動作を繰り返す人であれば、誰にでも起こり得る反応です。
姿勢の崩れが起きるメカニズム
体は疲労がたまると、使いやすい筋肉ばかりで動こうとします。
体幹の深い部分にある筋肉より先に、首や肩まわりの表層にある筋肉が働き始め、気づかないうちに肩が前に出たり、腰が反ったりする姿勢の崩れが起こります。学生時代の部活動で似た感覚を覚えたことがある方も、少なくないはずです。
骨盤の傾きも見逃せないポイントです。骨盤が前に傾きすぎると腰が反りやすくなり、後ろに傾きすぎると猫背が強まります。
ダンスの振り付けには腰を反らせるポーズも多く含まれるため、日常生活のクセと組み合わさって、骨盤が前傾したまま戻りにくくなるケースがよく見られます。鏡の前で立ったとき、みぞおちの位置だけが前に突き出て見える方は、このタイプに当てはまりやすい傾向があります。
ケガ予防に必要な体幹と関節の安定
姿勢が崩れたまま同じ動作を繰り返すと、特定の関節や筋肉にだけ負担が集中します。左右どちらかに軸がずれる「左右差」も、この負担の偏りから生まれるものです。ケガ予防の観点で言えば、痛めてから対処するより先に、体幹を安定させて負担を分散できる状態をつくっておくことが土台になります。
具体的には、着地の瞬間に足首がぐらつく、片脚立ちのターンで軸足の膝が内側に入る、腰を反らす動作で腰椎の一点だけに力が集中する、といった現象が起こりやすくなります。
これらはどれも、その場では痛みを感じないまま進むことが多く、練習量が増えたタイミングで急に表面化する点が厄介です。
左右差は自分では気づきにくく、動画で撮って初めて「片方だけ肩が上がっている」と分かる方も珍しくありません。
ピラティスが姿勢とケガ予防にどう働きかけるか
ピラティスとは、呼吸と連動させながら体幹の深層にある筋肉を働かせ、関節を正しい軌道に導く運動です。単に筋肉を鍛えるのではなく、「今、どこの筋肉が働いているか」を意識しながら動く点に特徴があります。
レッスンでは、腹筋のなかでも最も深い位置にある筋肉や、骨盤底にある筋肉に働きかける種目が中心になります。これらの筋肉は体の内側からコルセットのように働き、体幹を安定させます。安定した体幹があれば、腕や脚を大きく動かしても、軸がぶれにくくなります。
専門的には、この役割を担う筋肉群を「インナーユニット」と呼びます。
お腹をぐるりと巻くように働く腹横筋、背骨を支える多裂筋、骨盤の底で内臓を支える骨盤底筋、呼吸のたびに上下する横隔膜の4つが連動することで、体幹の内側から圧力を高め、まるで空気の入った風船のように背骨を支えます。
ダンスで体を大きくひねったり反らしたりする瞬間ほど、このインナーユニットが働いているかどうかで、腰にかかる負担が大きく変わってきます。
呼吸の使い方もポイントです。ピラティスでは、胸の横や背中側まで空気を入れる呼吸法を使いながら動きます。
息を止めて力むのではなく、吐きながら深層の筋肉を締めていくことで、動きの最中も体幹の安定を保ち続けられます。ダンスのように息が上がりやすい動作ほど、この呼吸のコントロールがものを言います。
姿勢についても考え方は同じです。猫背や反り腰は、特定の筋肉が硬く縮こまり、逆側の筋肉が伸びたまま働きにくくなっている状態と捉えられます。
ピラティスでは、硬くなった部分をほぐしながら、働きにくくなった筋肉に呼吸を送り込むように意識してもらいます。1回のレッスンで劇的に変わるものではありませんが、正しい姿勢の感覚を体に思い出させる作業を積み重ねることが、崩れにくい姿勢へとつながっていきます。
私たちのスタジオでは、60分のパーソナルレッスンのなかで、まず姿勢や関節の可動域、左右差を評価してから、その日の体に合わせて動きを組み立てます。同じ「体幹を鍛える」でも、その日ごとに硬さや動きにくさの出ている場所は変わるため、決まったメニューをこなすやり方はとりません。
自分の姿勢や左右差をセルフチェックする方法
スタジオに通う前に、まず自分の状態を知りたいという方のために、道具を使わずにできる簡単なチェック方法を紹介します。あくまで目安であり、痛みが出た場合はすぐに中止してください。
- 壁チェック:かかと・お尻・肩甲骨・後頭部を壁につけて立ったとき、腰と壁のあいだに手のひらが1枚以上入るようなら反り腰の傾向があります
- 片脚立ちチェック:目を開けたまま片脚立ちを10秒キープし、左右で明らかに安定感が違う場合は、体幹や股関節まわりに左右差がある可能性があります
- 動画チェック:スマートフォンで正面から歩く姿を撮影し、肩の高さや腕の振り幅が左右で違わないかを確認します。鏡で見るより客観的に気づけます
これらのチェックで気になる結果が出たとしても、それだけで深刻な問題があるとは限りません。ただ、体の使い方に偏りがあるサインではあるので、ダンスの練習量を増やす前に、一度専門家の評価を受けておくと安心材料になります。
月に1回など、決まったタイミングで同じチェックを繰り返すと、変化にも気づきやすくなります。
無理なく安全に始めるために確認しておきたいこと
持病や手術歴がある方、痛みが続いている方は、運動を始める前に主治医へ一度確認してください。これはピラティスに限らず、どの運動を始めるときにも共通する基本です。
頻度についても、いきなり毎日取り組む必要はありません。一般的には週1〜2回のペースから始め、体の反応を見ながら間隔を調整していく方法が無理のない進め方とされています。
動作中に鋭い痛みが出た場合はその場で中止し、翌日以降も痛みが引かない場合は無理に続けず、専門家に相談してください。「少し物足りないくらい」から始めるほうが、結果的に長く続けられます。
ダンスの練習前後のウォームアップとクールダウンも、体幹の安定と同じくらい見落とされがちな要素です。
練習前に軽く体幹を目覚めさせておくと、いきなり大きな動きに入ったときの負担がやわらぎますし、練習後に硬くなった股関節まわりをゆっくり伸ばしておくと、翌日の張りが残りにくくなります。ピラティスで身につけた体の使い方は、レッスンの中だけでなく、こうした準備運動の質にも生きてきます。
徳島でK-POPダンスや姿勢改善に興味がある人がピラティスを始めるには
大切なのは、器具や種目を選ぶことより先に、自分の体が今どんな状態にあるかを知ることです。
徳島でK-POPダンスや姿勢に憧れる人が最初にできること
徳島市内でも、ダンススタジオや文化施設のレッスンでK-POPダンスを楽しむ方が増えています。
練習中に膝や腰に違和感がある、踊るたびに左右のバランスの違いに気づく――そういったサインがあれば、体が発している合図かもしれません。ダンスの技術指導とは別に、体の土台を整える時間を持つことが、長く楽しみ続けるための近道になります。
姿勢に憧れて情報を集めている方も同じです。憧れの姿を真似ようと胸を張ったり顎を引いたりしても、体幹が支えていなければ数分で元の姿勢に戻ってしまいます。自分の体のどこが硬く、どこが使えていないのかを知ることが、遠回りに見えて一番の近道です。
| 今の状態 | 始め方の目安 |
|---|---|
| K-POPダンスの練習中に膝や腰へ違和感がある | まず体の評価を受け、負担の出ている部位を確認してから練習量を調整する |
| ダンス経験はあるが体幹の使い方に自信がない | 体幹の安定を優先したプログラムから始め、慣れてきたら動きの幅を広げる |
| ダンスはしていないが姿勢だけ気になる | 姿勢の崩れの原因になっている筋肉のかたよりから整えていく |
| 運動そのものが久しぶり | 負荷の軽い動きで体を慣らしながら、無理のないペースで進める |
私たちPilates & Conditioning Relizeでは、レッスン前に理学療法士が姿勢・可動域・左右差・呼吸・体幹の状態を評価してから、その日のプログラムを組み立てます。運動経験がないままダンスを始めた方や、痛みが出ないか不安な方でも、無理のない強度から始められます。
徳島県内でスタッフ全員が理学療法士の資格を持つスタジオは珍しく、誰が担当しても医学的な視点で「今日、どこまで動いていいか」を判断できる体制を整えています。
よくある質問
Qダンスをしていなくても、姿勢やケガ予防のためにピラティスは効果がありますか?
はい。ピラティスは特定の競技や踊りのための運動ではなく、体幹を安定させて姿勢を整えるための運動です。デスクワークで猫背が気になる方や、運動不足を感じている方にも同じ考え方が当てはまります。ダンスをする・しないに関わらず、体幹の安定と姿勢の土台づくりという狙いは共通しています。
Q運動経験がまったくなくても始められますか?
大丈夫です。当スタジオはマンツーマンなので、初回にまず体の状態を評価してから、負荷の軽い動きで始めます。K-POPダンスの経験がない方でも問題ありません。バネの強さや動きの範囲は一人ひとりの状態に合わせて調整します。
Q体験レッスンではどんなことをしますか?
姿勢や関節の可動域、左右差、呼吸の状態を確認したうえで、実際にマシンやマットを使った動きを体験していただきます。気になっている部位や、ダンスの練習で感じている違和感があれば、予約時や当日にお伝えください。
Q駐車場はありますか?
福島店・田宮店(Relize Melt)ともに駐車スペースをご用意しています。詳しい場所はご予約後にご案内します。
徳島で始めるなら──Pilates & Conditioning Relize
徳島市内の2店舗、Pilates & Conditioning Relize(福島店)とRelize Melt(田宮店)で体験レッスンを受け付けています。各店舗の雰囲気や担当スタッフは、それぞれの店舗ページでご確認いただけます。
体験レッスンは通常¥8,200ですが、ホットペッパービューティーの新規限定クーポンをご利用いただけます(福島店は¥4,980、田宮店も新規開店の特典をご用意しています)。
クーポンの内容は時期によって変わりますので、最新の金額はご予約ページでご確認ください。入会金はいただいておりません。
想像してみてください。
振り付けを最後まで踊りきっても、翌日に腰や膝の違和感が残らない体。
新町川沿いを歩いていて、ふと見えたガラスに映る自分の姿勢に、以前より安心できる自分。
人と話すときや写真に写るときに、意識しなくてもまっすぐな姿勢でいられる自分。
体は、始める段階さえ間違えなければ、年齢に関わらず変わっていきます。
参考
- SBSニュース(2017年):https://news.sbs.co.kr/news/endPage.do?news_id=N1004521496
- Harper’s BAZAAR Korea(2021年):https://www.harpersbazaar.co.kr/article/56571
